月刊「理系への数学」幾何大王からの挑戦状
角度の問題 #16 解答例
→問題

答え ∠DAB=54°

証明

BD上に ∠BCE=12°となるように点Eをとると, ∠ECD=60°-∠BCE-∠DCA=30°.
また,直線CDに対してEと対称の位置に点Fをとると, CE=CF, ∠DCF=∠ECD=30°で, ∠ECF=60°となるので, △CFEは正三角形で, EC=EF.
∠ACF=∠DCF-∠DCA=12°, ∠DEC=∠BCE+∠DBC=24°, ∠DFE=∠FED=60°-24°=36°, ∠BDF=∠EDF=180°-36°-36°=108°.
また, ∠EBC=12°=∠BCEより, EB=EC=EFなので, Eは△BCFの外心であり, ∠FBC=∠FEC/2=30°.
△ABCは正三角形なので,2点A,Cは直線BFに対し互いに対称の位置にあることになり, ∠FAC=∠ACF=12°.
∠FAB=12°+60°=72°.
∠FAB+∠BDF=180°なので,四角形ABDFは円に内接し, ∠FAD=∠FBD=30°-12°=18°.
∠DAB=∠FAB-∠FAD=54°.

別解1

∠BCD=42°.
直線BDを軸としてCと対称の位置に点Eをとり, ∠BACの二等分線と直線CDの交点を点Fとおく.
BDについての対称性より, ∠EBD=∠DBC=12°, ∠DEB=∠BCD=42°, BC=BE.
また, ∠BDC=∠BDE=126°より, ∠EDC=108°.
∴ ∠FDE=180°-∠EDC=72°.
一方,AFについての対称性より, ∠ABF=∠ACF=18°.
∠EBF=60°-∠ABF-∠EBD-∠DBC=18°=∠ABF, BE=BC=BAより, △ABF≡△EBF.
∴ ∠BEF=∠BAF=30°, FA=FE.
∠DEF=∠BEF+∠DEB=72°=∠FDEより, FD=FE=FA.
∠AFD=180°-∠FCA-∠CAF=180°-18°-30°=132°より, ∠DAF=∠FDA=24°.
∠DAB=∠DAF+∠BAF=54°.

別解2

∠BCD=42°.
直線BDを軸としてCと対称の位置に点Eをとり, ∠BCAの二等分線と線分BEの交点を点Fとおく.
BDについての対称性より, ∠EBD=∠DBC=12°, BC=BE, DC=DE.
∠BCE=∠CEB=78°, ∠DCE=∠BCE-∠BCD=36°.
∴ ∠EDC=180°-2∠DCE=108°.
∠EFC=∠FBC+∠BCF=54°.
DC=DE, ∠EDC=2∠EFCより, Dは△FCEの外心で, DE=DF.
また,BA=BC=BE, ∠ABE=60°-∠EBD-∠DBC=36°より, ∠BEA=∠EAB=72°.
ここで,CFについての対称性より, ∠FAB=∠ABF=36°.
∴ ∠AFE=72°, ∠EAF=36°.
∠FEA=∠AFEより, AE=AF.
これと, DE=DFより, △AED≡△AFD, ∠EAD=∠FAD=18°.
∠DAB=∠FAB+∠FAD=54°.

別解3

直線CDを軸としてAと対称の位置に点Pをとり, ∠ABCの二等分線と線分CPの交点を点Qとおく.
CDについての対称性より, ∠PCD=∠DCA=18°, ∠CAP=∠APC=72°.
BQについての対称性より, ∠CAQ=∠QCA=36°, AQ=CQ.
∠PQA=72°=∠APQより, AP=AQ, ∠QAP=36°.
また, ∠QBD=∠QBC-∠DBC=18°=∠QCDより,四角形QBCDは円に内接する.
四角形QBCDの外接円の中心をOとすると, ∠QOC=2∠QBC=60°より, △QOCは正三角形で, OQ=CQ=AQ.
∠QOD=2∠QBD=36°=∠QAP, OD=OQ=AQ=APより, △APQ≡△ODQで, QP=QD.
また, ∠DQC=∠DBC=12°より, ∠DPQ=∠QDP=6°.
CDについての対称性より, ∠CAD=∠DPQ=6°.
∠DAB=60°-∠CAD=54°.

別解4

DG=DC,∠CDG=156°となるような二等辺三角形DGCを,直線CDから見てAと逆側に作る.
∠GCD=∠DGC=12°, ∠GCA=12°+18°=30°より, CGは∠BCAの二等分線である.
また,∠DGC=∠DBCなので,四角形GBCDは円に内接し, ∠GBD=∠GCD=12°, ∠GBC=24°.
ここで,∠CAD=xとおく.
直線CGに対して点Dと対称の位置に点D'をとると, D'は明らかに △DBCの内部にあるので, ∠D'BC<∠DBC=12°であり, ∠D'BC=∠CAD=xなので, x<12°.
x<∠DCAなので,線分DA上に ∠DCH=xとなるような点Hをとることができる.
また,直線CGに対してHと対称の位置に点Iを,直線BCに対してIと対称の位置に点Jをとる.
対称性より,△HCA≡△ICB≡△JCBであり, ∠CBJ=∠CBI=∠CAH=x, ∠JCB=∠ICB=∠HCA=18°-x.
また,CGについての対称性より, GH=GI, ∠GAH=∠GBI=24°-x.
ここで,△DCH∽△DACなので, DH・DA=DC2 であり, DC=DGより,DH・DA=DG2 となるので, △DGH∽△DAG.
∴ ∠HGD=∠GAD=∠GAH=24°-x.
∠HGC=∠HGD+∠DGC=36°-x.
CGについての対称性より, ∠HGI=2∠HGC=72°-2x, ∠GIH=∠IHG=54°+x.
一方,CH=CI=CJより,H,I,JはCを中心とする円周上にある.
∠ICH=60°-2(18°-x)=24°+2x, ∠JCH=60°-∠HCA+∠JCB=60°より, ∠IJH=∠ICH/2=12°+x, ∠HIJ=(360°-∠JCH)/2=150°.
∠JIG=360°-∠HIJ-∠GIH=156°-x, ∠GBJ=∠GBC+∠CBJ=24°+xで, ∠JIG+∠GBJ=180°なので,四角形GBJIは円に内接し, ∠IGJ=∠IBJ=2x, ∠GJI=∠GBI=24°-x.
∠HGJ=∠HGI+∠IGJ=72°, ∠GJH=∠GJI+∠IJH=36°より, JG=JHであり, CH=CJ, ∠JCH=60°より△HJCは正三角形なので,JC=JH=JG.
∠GJC=∠GJH+∠HJC=96°なので, ∠JCG=42°.
∠JCB=∠JCG-30°=12°=18°-xより, x=6°.
∠DAB=60°-x=54°.

別解5

∠BCD=42°.
線分BD上に ∠BCE=12°となるように点Eをとると,EB=EC, ∠DEC=24°, ∠ECD=30°.
正三角形FECを,直線CEから見てDと同じ側に作ると, ∠FED=36°.
線分BFの中点をHとすると,EB=EC=EFより,直線EHは線分BFの垂直二等分線で, BとFはEHを軸として互いに対称の位置にある.
∠BEH=∠HEF=72°, ∠FBE=18°, ∠FBC=30°.
ここで,直線EH上に,EG=EBとなる点Gを,Eから見てHと逆側にとると, ∠EBG=∠BGE=36°.
また,∠CEG=180°-∠HEF-∠FEC=48°, EG=EB=ECより, ∠EGC=∠GCE=66°で, ∠GCB=∠GCE-∠BCE=54°.
直線EH上に,HG=HIとなる点Iを,Hから見てGと逆側にとると, IとGはBFを軸として互いに対称の位置にあり, ∠ABF=30°=∠FBCより,AとCもBFを軸として互いに対称の位置にある.
BFについての対称性より,∠BAI=∠GCB=54°, ∠EIB=∠BGE=36°.
EHについての対称性より,∠FIE=∠EIB=36°.
∠EFI=180°-∠FIE-∠IEF=72°=∠IEFより,IE=IFであり, これとCE=CFより,EとFは直線CIを軸に互いに対称の位置にある.
∠ECI=∠ECF/2=30°=∠ECDより,点Dは直線CI上にあり, ∠BDI=∠DEC+∠ECD=54°=∠BAIなので,四角形IBDAは円に内接する.
∠DIE=∠FIE/2=18°より,∠DAB=∠DIB=∠DIE+∠EIB=54°.