本書は
『入試問題が語る数学の世界』(2004年)の続編である.
入試問題は当然学習指導要領に基づいて出題されるが,その問題は必ずしもその枠内に収まっているとは限らない.それは数学が暗記中心ではなく応用力が重視され,これこそが数学の実力と見なすからである.
過去の多数の入試問題をその題材の選定や内容また記述に注目して見るとき、中には学習指導要領の枠外の問題に見えても、また,受験生が鍛錬し身に付けた解法の定石で処理できなくとも,学習した知識を活用すれば解決可能な内容や形態によって,出題者が受験生やその指導者へ問題に託したメッセージの伝わる良質の問題に出会うことがある.
それは,数学史上重要と思われる問題であったり、深遠な数学の世界を瞥見できるもの,現代人として考えなければならないもの、また有名で興味深い数学遊戯の問題で数学の世界へ誘うものだったりする。
本書では,そのような過去の入試問題から
- 歴史的に有名で親しみ深い問題
- 社会生活の中で身近な問題
- 遊戯性をもち理知的な問題など
に着目して選び試問とした。
これらの解説を参考に良さを吟味し,出題者の意図するねらいを考えてみよう.