日本における算数・数学の歴史を辿ると、大きく分けて3回の移入によってき た。第1回目は奈良時代初期に中国より伝わり、それは漢数字と九九などで、今 でも使われている。第2回目は織豊時代に移入した「そろばん」、そして江戸時 代となり普及して和算(算法、算学)に発展した。第3回目は(江戸後期に長崎 などから入ってはいたが)明治初期に欧米諸国より学校教育に西洋の算数・数学 (洋算)が取り入られ、今日に至っている。
古代から現代までに算数・数学に携わった日本人は、師から弟子へ、教師から 生徒へと、何万人、いや何十万人と居たであろうが、すべての人達を網羅するこ とは不可能である。せめて著名な数学者(指導者、著作者など)の記録・業績の 一端なりとも、後世に残したいと考えて纏めてみた。 歴史を造ったのも人、これからの歴史を造るのも人である。先人に感謝の念を 持ち、その記録をたどることによって、これからの算数・数学及び教育において の指針・方法などを見出し、更なる研究がなされ、技術革新、文化の発展へと寄 与することを願って止まない。
(編者より)
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