"数学は例外を嫌うというが,定理や公式の成立条件を明確にしておかないと,意外なところで特異例に遭遇して,進退きわまるものである.これを盲点という.盲点に泣くのは学生のみではない.教える教師も同類である.誤りをおかさない人間はいない.しかし,誤りの中には,ついウッカリの誤りでなく,だれでもやりそうな誤りもある.そのような誤りは数学の基礎的なところに多く,数学の本質につながっているものである.本書はもろもろの盲点を初等数学の中から拾い出し,解明を試みた.
(目次)
1.εに親しむ
2.ε、δを楽しむ
3.ε、δに泣く 4.ε、δは不要か
5.極限の定義に盲点あり
6.2つの極限のドッキング
7.完備とはなにか
8.7つ道具でコンパクトへ
9.部分なら部分列か
10.区間とはなにか
11.開集合あれこれ