双書4/大数学者の数学リーマンの数学は高等数学である.それゆえ一般の人や数学愛好家向けのこの類の著作は、数式を殆ど用いない言葉と絵だけで連ね、内容的には、リーマンの数学というのではなく、むしろリーマンの経歴や系譜を中心にいろいろ語る、というのは普通であった.従って一般読者は「リーマン幾何学」とか「リーマン予想」とかいう言葉を覚えるだけで、「数学的にはさっぱりというのが実情のようである.
そこで本書では、リーマンの数学をおぼろげにでもわかっていただくことを旨として、初等数学でできるだけその核心に接近する、という方策を採った.
リーマンの数学が、事実上「専門家」という、ごく僅かの人達の目にしか触れ得ないというのでは、リーマンにとってもいかにも淋しい限りであろう.それだけに、数学好きな高校生、大学生、そして数学愛好家・社会人という、できるだけ多くの人にとって本書がリーマンの数学の本格的啓蒙となり得るであろうこと、そしてそのために、順を追って読んでゆけば、高校生でもそれ相応にわかっていただけるであろうことを確信するものである.
(筆者)