「トポロジー」とは,一体何なのだろうか.
本書の一つの目標は,トポロジーのアイデアが,使われている例をできるだけ多く解説することにより,「トポロジストの視点」を理解してもらい,読者に「トポロジーとは何か」,そして「トポロジーはどこに進もうとしているのか」を考えてもらうことである.
トポロジー,特に,代数的トポロジーやホモトピー論と呼ばれる分野の役割としては,数理科学の様々な分野に現れる複雑な構造の記述言語を創出することが,重要だと考えられる.
そのために,幾何学の一分野というしがらみを断ち切り,様々な分野の共通言語としてのホモトピー論を紹介する.