虚数単位i = -1 に初めて出会ったときの衝撃は,数学人生の中でもひときわ大きなものでしょう
「- 1 の平方根などという実際には存在しない数を考えてどうするの?」と感じたのではないでしょうか.
もちろん,数学の対象は現実世界にあるものでなく,概念として人の頭の中に存在するものですから,「そういうものも考えることはできるな」と受け入れることはできます.また,2 次方程式の解の公式などを使っていると,虚数解は避けて通れないですから,渋々受け入れたという記憶があるかも知れません.
本書では,複素解析の理論を厳密に展開するわけではありません.これで複素解析をマスターできません.複素解析の存在価値を知ってもらい,「もっと詳しく勉強したい」と思っていただくことが目的です.