線型代数から始めよう
数学や理論物理学を学ぶ上でリー群(Lie 群)の知識が必要になることがしばしばある。大学の授業では学ぶ機会がなかなかないにも関わらず大学院生になると「当然知ってるよね」と言われがちな知識でもある。
この本ではリー群のなかでも微分幾何学や理論物理学で使われることの多い線型リー群について初歩(の初歩)を解説する。
線型代数、微分積分、初歩の群論を学べばリー群論・リー環論の初等理論は手の届く位置にある。とは言うものの独学でリー群・リー環について学ぶとき線型代数とのギャップで戸惑う読者も少なくない。この本は、それらの入門書と「初歩の線型代数」の間のギャップを埋めることを目的としている。やさしめに書かれた線型代数の教科書では学びにくい双対空間、対称双線型形式などが(単純)リー環を扱う上で活用される。このような学びにくい(あるいは学び損ねた)線型代数の知識についてページを割いて丁寧に解説していることがこの本の特徴である。