西郷甲矢人・能美十三 共著 著ISBN978-4-7687-0578-0
A5判判 / 152頁 / 1,800円 /
分類 : 数学一般 〇
本書は,シリーズ「線型代数対話」の第2 巻である.もっとも広い意味における線型代数の沃野を圏論的に鳥瞰しつつ,蛇のように地べたを這いずり回りながら進むというのが本シリーズの志であり,第1 巻はそのための準備として,「素朴圏論」の立場から「集合論を圏論的に定式化する」過程で圏論の諸概念を導入した.第2 巻は,第1 巻の内容を踏まえつつ,「モノイド」という概念に焦点を当てる.モノイドの簡潔な定義(のひとつ)は,「対象がただひとつである小さな圏」である.対象がただひとつであることから,任意の2 つの射は合成可能である.つまり,合成が射たちの「2項演算」となる.およそ「代数」の文脈において扱われるものの多くは,モノイドの一種となっている.この「モノイド」という素朴な概念が,様々な形で定式化され,変奏され,それらに翻弄されているうちに線型代数の核心をなす「行列計算」が姿を表す,というのがこの巻の大まかなストーリーである.